坂の上のマリア


急峻な斜面に住宅が密集し、高齢化と過疎化が進む北九州市八幡東区の丸山・大谷地区で『坂の上のマリア』は撮影された。
映画監督・瀬木直貴は、厳しい住環境の中でたくましく生活するお年寄りたちを見て、「現代社会で希薄になりがちな土地への愛着・絆をフィルムにとどめ、高齢者の生き様と地域コミュニティーのあり方を問いたい」と映画作りを決意。半年近く現地に住み込み、シナリオ作りやロケ場所探しに奔走しながら、地域住民との絆を深めた。
地元住民が中心となって製作上映委員会を発足。出演者は、プロの俳優が3名、他は地域住民が実在の役で出演し、主人公マリアの孫娘役には、地元中学校に通う渡邊恵海さんが抜擢された。
まさに地域が一体となって作り上げた本作は、フィクションでありながら、ドキュメンタリー的なリアルさをもった映画に仕上がっている。

ストーリー


皿倉山の中腹にあるその家は、車道から数百メートルもの狭い路地と階段を上ったところにある。ここはきつくて、いいとこで、不便なところ・・・

そこで暮らす老女・マリア(78)は無愛想で頑固者。
いつも憎まれ口をたたいて周囲を困らせているが、その言動にはどこか人間味がにじみでている。

ある日マリアは、遊びに来ていた孫のために買ったスイカを階段で落としてしまい、咄嗟に階段を駆け降りるが、転倒してけがを負ってしまう。

彼女はこの長い坂を恨めしく、自分の衰えていく肉体の現実もあいまって、情けなくすすり泣く。
マリアは、この事故をきっかけに、息子の勧めに従って平坦な新興住宅地に引っ越して同居することを決意する。しかし、引っ越しを決意してから、マリアの目にはこの地域の何気ない風景がかえって新鮮に映り始める。

階段を駆け降りる子供たち。階段での井戸端会議。郵便配達の呼びかけ。近所の住人のさり気ない思いやり。犬の声。風に揺れる秋桜・・・。引っ越しが近づくにつれて、マリアはこの地域で暮らしてきた意味をかみしめていく。

そしていよいよ引っ越しの朝。マリアはある決断をするのだった・・・。

キャスト


入江杏子 中西和久 渡邊恵海 中村有志 ほか

インフォメーション


2000年 カラー 35ミリ ビスタサイズ 70分

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http://www.iw-eizo.co.jp/sell/society/04/society04_009.html

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